㈱井口浩フィフス・ワールド・アーキテクツ | 樹海都市=ハウスフォレストリーとは


トップページ >> 樹海都市=ハウスフォレストリーとは

樹海都市=ハウスフォレストリーとは

―人工物と自然をセットで考えるー

「ハウスフォレストリー」はハウス(HOUSE)とフォレストリー(FORESTRY)を 組み合わせた造語です。ハウス(建築、人工物、都市)とフォレストリー(森林、自然、林業)を同じ場所に成立させる考え方です。

例えば樹木(特に落葉高木)は、夏には日陰を、冬には落葉して日なたを提供してくれますし、花や実は人間やその他の昆虫や鳥などの生物をも育みます。また適度な湿気の放出により気温上昇を抑えたり、CO2を吸収・固定化することで地球温暖化防止にもなります。そしてなにより、私達人間を癒してくれるなどの多大な効果があります。このような樹木の効果は高度な建築性能ともいえるわけです。例えば、高さ13~14M級の落葉高木を立ち並べて、その日陰になるところに住宅や建築を配置すれば、それだけでも多大なる省エネ効果が期待できます。冬は暖房費の節約になりますし、夏にはエアコンも不要になるかもしれません。木漏れ日は誰をも心地良くするでしょう。樹木にとっても人間に手入れされることで病虫害などから守られるなどのメリットがあるわけです。このような樹木と住宅(建築)の等価で有益な関係が、ハウスフォレストリーのイメージです。 20世紀文明は地上の利用可能圏を都市と農地と森林の大きく3つに専用ゾーニングして効率化しました。さらに、都市は住宅専用ゾーン、工場専用、自動車専用など、細かく専用ゾーニングされ、農地も単一種栽培で専用ゾーニングされ効率化されました。しかし、それらは結果的に持続不可能な状態になりました

単一種栽培は病虫害に弱く、農薬漬け、灌漑のし過ぎで砂漠化が深刻になっています。 都市と農地の専用ゾーニングの膨張は、森林を圧迫し、あと数十年で、世界中の主要な森林は消滅すると言われるところまで来ています。それに対してアグロフォレストリー(AGRO―FORESTRY)は、農耕学(アグロノミー)と森林(フォレストリー)を合体させた言葉で農作物栽培と樹木栽培を同時に同じ場所で行うことです。例えば、熱帯地域でカカオやコーヒー等の栽培をするとき、カカオやコーヒーは多少の日陰を好むため、シェードツリーという大木がそこに生えてあり、その下でカカオやコーヒーはよく育つわけです。そして、シェードツリーも木材として同時に利用しようという考え方です。

このようなカカオの畑は一見うっそうとした森林とほとんど同じような姿をしています。 従来までは森林を焼いて農地をつくる焼き畑に代表されるように、農地と森林は同時に成り立たなかったわけですが、アグロフォレストリーは農地と森林を同時に同じ場所で成り立たせる考え方というわけです。要するに、アグロフォレストリーのカカオやコーヒーの木の代わりとして、シェードツリーの下に住宅や建築をつくると、ハウスフォレストリーになるというのがわかりやすいイメージです。